権田保之助ん家

権田保之助に関する情報を掲載

もう一回、映画の話です

6月に続き、7月、8月も映画を沢山観ました。
・映画から何を学ぶか?
・「名画」とは何か?
・権田保之助は映画をどう鑑賞したのか?
などいろいろと考えてみました。

1.S.F.映画を観ていて「人間にとって生きるとは何か」考えさせられました。「アンドリューNDR114」(1999年、クリス・コロンバス監督)の「人間は一定期間この世に留まって、通り過ぎて行く。それが自然だ。」ということ、「Arc」(2021年、石川慶監督)で感じた「不老不死となった人間の不自然さ」から、限りあるから人生は意味があるということ、今を真剣に生きるから輝くことに気づかされました。

2.海外のS.F.映画では「宗教的表現」が多いことに気づきました。「メトロポリス」(1927年、フリッツ・ラング)、「未知との遭遇」(1977年、スピルバーグ)、「コンタクト」(1997年、ロバート・ゼメキス)、「A.I.」(2001年、スピルバーグ)など。欧米人にとって宗教は日常なのだと思いました。また、映画によって他国の宗教観を理解することに繋がると思いました。

3.「スペースバンパイヤ」「シックスヘッドジョーズ」などパロディ的な映画もありますが、映画には監督のメッセージが込められていることに気づきました。
大林宜彦監督は「最後の講義」で以下のことを述べています。
・映画とはフィロソフィー(哲学、哲理)である。黒澤明は「七人の侍」で日本人の美しさを描きたいと思った。小津安二郎は「戦争が終わって日本人は本当に幸せになったかい(家族がバラバラになったよね)」と問いかけている。
・大林宜彦はファンタジー、恋愛映画の中に戦争体験を残した。戦争の痛みを「心の痛み」として表現している。
・ハッピーエンドという平和はこの世の中にないが、映画のハッピーエンドを皆が信じることで、いつか本当に世の中が平和になる。映画は「未来」をつくる力になる。黒澤明も「戦争はすぐに始まるが、平和になるには400年かかる。自分が死んでも次の人が残りをやってくれれば、いつか400年経って平和を作る。映画にはそういう力がある」と言っている。
・芸術は死後100年して理解されるもの。今理解される映画じゃ駄目だ。ピカソの「ゲルニカ」は1937年発表当時は「こんなの絵ではない」と評価されたが、ゲルニカは今でも子供の心に伝わる絵である。
なるほど、「HOUSE」では三浦友和が特攻隊に行くシーンがあるし、「この空の花 長岡花火物語」「野のなななのか」「花筐」「海辺の映画館‐キネマの玉手箱」は反戦の映画だ。ハッピーエンドで終わる映画は確かに多い。

さて、権田保之助は映画(活動写真)をどう鑑賞していたのでしょうか?
以前掲載した「権田保之助の映画鑑賞日記」に以下の記載があります。
・昭和4年3月25日:「ザンバ」は教育映画として優れたものであると云い得よう。
・昭和4年3月27日:可愛らしい観衆は何れも皆第三の「天下太郎諸国漫遊記 海洋冒険の巻」が最も面白かった様だ。第一の「実を結ばぬ椿」は哀調を帯び過ぎて不向き。第二の「ほほ笑み」は余りに教えようとし過ぎて失敗。第四の「玩具店」なぞは先づまづ無難のものか。
・昭和4年4月9日:「メトロポリス」はその技巧は兎に角素晴らしいものだが、内容は余り豪いものではない。尤も資本主義文化の頂点を描写せるものとしては、比較的に面白いものであろう。
・昭和4年4月23日:キング・オヴ・キングスは大物でも、日本には向くまいと思った。
・昭和4年4月29日:『天下太郎諸国漫遊記』が一番に小さい観衆に受けていた。

権田保之助は映画(活動写真)を娯楽として味わう(楽しむ)と同時に、
・教育的な内容か
・日本人に合う内容か
・映像の美しさ、技巧はどうか
・観衆の反応はどうか
など、多様な見方をしていたように感じます。美術工芸についても日本的かどうかという視点で評価しているし、単なる技巧ではなく作者の内面的な観点で評価しています。

(参考)「日本美術」への投稿と木彫「かつを」の作者
https://yasunosukenchi.hatenablog.com/entry/2021/01/31/213421

[以下、私の映画鑑賞日記(2021.7.1~9.11)]
8月は大林宜彦監督の映画、S.F.映画を中心に観ました。何度観ても感動する映画が「名画」かもしれません。

〇2021.7.3 TV「アクアマン」(2018年、ジェームズ・ワン
 ・最初はムリかもと思ったが、話の展開が面白い。
 ・きらびやかな映像は映画「インモータルズ 神々の戦い」(2011年、ターセム・シン)を思い出す。

〇2021.7.4 TV「マトリックス」(1988年、ジョン・カーペンター
 ・今回初めて最初から最後まで観て「そういうことだったのか」と理解した。
 ・なかなか面白い設定だ。
 ・EMP(電磁パルス)が出てくる。スティーブン・セガールの「沈黙」シリーズでもEMPが出てくる。
 ・カンフーでの「手招き」ポーズはブルースリーを意識している。
 ・最後の覚醒は映画「ルーシー」(2014年、リュック・ベッソン)の覚醒を思い出す。

〇2021.7.5 TV「トータル・リコール」(1990年、ポール・バーホーベン
 ・銃撃戦、これはギャグだ。
 ・街の感じがいい。
 ・どうなっちゃうのか
 ・酸素がなくなってトビーフーパー的な顔になった
 ・そんなわけないだろう、という結末
 ・何が現実で何が夢だったのか、?

〇2021.7.6 TV「沈黙の掟 PART2」(2012年、ウェイン・ローズ)
 ・悪党をやっつけるシーンに拘りがある。痛快だ

〇2021.7.7 DVD「民族の祭典」(1938年、レニ・リーフェンシュタール
 ・意外な始まり方。芸術的
 ・選手、観衆、応援団、関係者、ヒトラーの顔が多面的に撮影されている
 ・三段跳び、マラソンで日本が優勝。やっぱり優勝は嬉しい
 ・意外と日本人は世界の強豪相手に頑張っている
 ・夜になっても競技が決着しない
 ・マラソンのスロー映像は炎のランナーを思い出す
 ・マラソンは市民マラソンのよう。古き良き時代。

〇2021.7.9 TV「バケモノの子」(2015年、細田守
 ・自分の人生か。
 ・どういう話かと思っていたが、そういう話だったのね。

〇2021.7.15 映画館「Arc」(2021、石川慶)
 ・不老不死となった人間は、老いていく人間に仕えるロボットのように感じた。
 ・人間になろうとしたロボット「アンドリューNDR114」と対照的な内容である。
 ・両作品とも「人間とは何か」を考えさせられる映画だ。

〇2021.7.17 録画「マッチポイント」(2005年、ウディ・アレン
 ・スカーレット・ヨハンソンが出演の映画なので観たいと思っていた。
 ・ウディ・アレンが監督とは知らなかった。
 ・ウディ・アレンの監督の映画は久し振りに観る。
 ・さすがウディ・アレン。皮肉とユーモア満載である。
 ・ショットガンで撃たれるところを映さないところも素晴らしい。
  映画は引き算。すべてを語るのではなく、何を語り何を語らないかが大切。
  (未完の美のうつくしさ、自主映画の面白さに繋がるように思う)
 ・終わり方も見事だ。

〇2021.7.19 DVD「TABU」(1931年、ムルナウ
 ・純粋で美しい映像
 ・未開の地で暮らす人々の素朴さがあふれている
 ・未開文明と近代化、考えさせられる
 ・素敵な映画です

〇2021.7.20 DVD「来るべき世界」(1936年、ウイリアム・キャメロン・メンジーズ)
 ・地下世界とは驚いた
 ・人類は進歩か退化か
 ・科学絶対主義への不安を感じる
 ・戦争、独裁への反感

〇2021.7.21 DVD「TENET」(2020年、クリストファー・ノーラン
 ・場面展開がテンポ良く進む。同監督の映画「インターステラー」を思い出す。
 ・時間逆行のパラドックスパラレルワールド
 ・時間逆行で第三次世界大戦という着想が凄い
 ・迫力ある映像
 ・逆行している人は順行している人を撃てないのではないか?
  (何度観ても分からないように思う。アタマで観てはいけないか)
 ・順行している人と逆行している人が接するシーンが分かりにくい
 ・まさかの展開続きで面白い(感覚で観ることが大切)

〇2021.7.29 DVD「サンライズ」(1927年、ムルナウ
 ・人の喜怒哀楽が詰まっている
 ・いい映画だ
 ・本当に大切なことを教えられる

〇2021.8.1~3 録画「海辺の映画館‐キネマの玉手箱」(2019年、大林宜彦)
 ・大林監督の「最後の講義」を思い出す
 ・ウソからマコトが飛び出す
 ・戦争の怖さを映像で表現
 ・長すぎる(引き算が必要)

〇2021.8.7 録画「さびしんぼう」(1985年、大林宜彦)
 ・なつかしい映像
 ・学生時代を思い出す
 ・いたずらが許された時代
 ・青春ドラマ
 ・ハッピーエンドで良かった

〇2021.8.8 録画「転校生」(1982年、大林宜彦)
 ・最後のシーンにジーンとくる
 ・これも青春映画
 ・自主映画っぽさが良い
 ・難しいテーマへのチャレンジ

〇2021.8.9 DVD「花筐」(2017年、大林宜彦)
 ・よく分からないが心に残る
 ・もう一度見ないと分からない
 ・これは何だ(100年後に理解される?)

〇2021.8.10 DVD「大林宜彦 青春回顧録」(1960~1968年、大林宜彦)
 ・「絵の中の少女」
  素晴らしい無声映画だ。日本の懐かしい街並み。大林監督のピアノ演奏が素晴らしい!
 ・「だんだんこ」
  悲しげな映像。アニミズム
 ・「形見」
 ・「尾道
  記録映画。尾道愛を感じる。
 ・「木曜日」
 ・「中山道
 ・「食べた人」
 ・「Complexe 微熱の玻璃あるいは悲しい饒舌ワルツに乗って葬列の散歩道」
 ・「EMOTION 伝説の午後 いつか見たドラキュラ」
  以前に観た時と印象が違う。何が言いたいのか?(これを求めてはいけないか)
 ・「CONFESSION 遥かなるあこがれギロチン恋の旅」
  岡本太郎チックな語り。心に残る何か。自主映画の面白さ。

〇2021.8.11 DVD「ワン・ツー・スリー」(1961年、ビリー・ワイルダー
 ・早いテンポ。息をつく暇なし。
 ・面白い展開
 ・東西ベルリンの貴重な映像

〇2021.8.12 DVD「浮草」(1959年、小津安二郎
 ・固定カメラ映像の場面切り替えが素晴らしい(タイミング、アングル)
 ・最初の場面で一升瓶が出てくるが、何を意味するのか。
 ・いい映画だ。
 ・京マチ子が色っぽい。
 ・若尾文子が美しい。川口浩と抱き合う時の手の動きがいい。
 ・終わり方もいい(ハッピーエンド?)

〇2021.8.17 録画「HOUSE」(1977年、大林宜彦)
 ・何度観ても面白い。
 ・三浦友和が特攻隊に行くシーンをあまり意識していなかった。

〇2021.8.18 録画「可愛い悪魔」(1982年、大林宜彦)
 ・円谷プロダクション
 ・火曜サスペンス

〇2021.8.19 録画「麗猫伝説」(1998年、大林宜彦)
 ・火曜サスペンス

〇2021.8.20 録画「この空の花 長岡花火物語」(2012年、大林宜彦)
 ・反戦
 ・演劇のよう

〇2021.8.21 録画「ふたり」(1990年、大林宜彦)
 ・尾道新3部作の1つ
 ・妹を思う姉の魂が尊い
 ・「ゴースト」を思い出す

〇2021.8.24 録画「レプリカズ」(2018年、ジェフリー・ナックマノフ)
 ・現実的な設定
 ・面白い

〇2021.8.25 録画「タイムマシン」(2002年、サイモン・ウェルズ)
 ・過去は変えられないが未来は変えられる
 ・何度見ても面白い
 ・H・G・ウェルズの曾孫(ひまご)が監督
 ・原作はH・G・ウェルズ「タイムマシン」

〇2021.8.26~27 録画「コンタクト」(1997年、ロバート・ゼメキス
 ・カール・セーガン原作
 ・宗教が出てくる(「人類の95%は何らかの神を信じる」、「国家と地球と神のため」)
 ・詩(ポエット)
 ・孤独を癒すのはお互いの存在だ。
 ・我々(地球人)は大きなものの一部であり、孤独ではない。畏敬の念が必要。
 ・科学と宗教の目指すものは真理の追究。

〇2021.8.27~28 録画「野のなななのか」(2014年、大林宜彦)
 ・人は生きて、死んで、人の繋がりで再生する。
 ・反原発。戦争の悲惨さ。
 ・日本人の心に響く表現。
 ・人は心と魂。血は溢れる命。
 ・人はいつまで殺され続けるのか。
 ・人は誰か大切な人と繋がっている。
 ・中原中也
 ・私は決してもう迷子になりません(戦争は起こしません)。

〇2021.8.28 録画「アンドリューNDR114」(1999年、クリス・コロンバス
 ・ロボット3原則
 ・ユニークなロボット。時間は無限。何にでもなれる。
 ・自由を求めるロボット。
 ・テンポ良い展開。
 ・不完全だからユニーク。完璧でないことが大切。間違いから学ぶ。
 ・ロボットにとって大切な人が先に去っていく。
 ・物事は常に変わっていく。
 ・社会は死なない人間に人間性を認めない。
 ・人間は一定期間この世に留まって、通り過ぎて行く。それが自然だ。
 ・何年生きるか分からない。それが人間というもの。
 ・人間として認めてもらいたいロボット。
 ・何度観ても泣ける。

〇2021.8.29 録画「A.I.」(2001年、スピルバーグ
 ・温暖化による海面上昇。
 ・神も愛を期待してアダムを創ったのでは
 ・見かけは人間そのものの子供ロボットの是非。
 ・ピノキオを助けた妖精ブルー・フェアリー
 ・生き残るメカは人間に睨まれる(妬み?)
 ・夢を追う能力を持つロボット
 ・「僕は生きた。そして消える」
 ・「お願いです。僕を人間の子供にしてください」
 ・スピルバーグの優しさ溢れる名作
 ・何度か見たが、初めのシーンを忘れている

〇2021.8.30~31 録画「インターステラー」(2014年、ノーラン)
 ・ガラクタの1つにMRIがあった。
 ・ラザロ計画。ラザロは聖書に出てくる言葉。
 ・親は子供の記憶の中で生きる
 ・ワームホールは球状。時空のゆがみ。
 ・ブラックホール相対性理論
 ・運動の第3法則
 ・STAY
 ・5次元の世界の人が4次元の世界を作った
 ・「約束したから帰ってきた」(父と娘の約束)

〇2021.9.2~3 録画「未知との遭遇」(1977年、スピルバーグ
 ・初めのシーンは覚えていない
 ・映画「十戒」をテレビで見ているシーンあり
 ・インド ダラムサラ 5音レミドドソ
 ・宇宙人と接触する前に聖書でお祈り
 ・シンプルな内容
 ・夢がある(さすが、スピルバーグ
 ・音楽はジョン・ウィリアムス

〇2021.9.6 TV「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(1990年、ケビン・コスナー
 ・文明による民族崩壊、いろいろと考えさせられる
 ・いい映画だ
 ・ハッピーエンドで良かった
 ・なんとケビン・コスナーは監督・主演・製作

〇2021.9.7 録画「E.T.」(1982年、スピルバーグ
 ・E.T.は「未知との遭遇」の異星人に似ている
 ・E.T.との別れのシーンは何度観ても泣ける
 ・名画だ