浮世絵オークションへの参加は今回が2回目です。
今回は入札価格が1万円から始まる「成行品」を1つか2つ購入したいと思っていました。
オリジナルの浮世絵は、よし藤の明治時代のおもちゃ絵「志ん板かってどをぐ尽し」(お勝手道具を一式並べた絵柄)を1枚持っているだけで、
他は復刻版の浮世絵、プリント版(印刷)の浮世絵が数枚で、普段は復刻版の浮世絵を部屋に飾っているので、江戸時代のオリジナルの浮世絵を部屋に飾って好きな時に眺めたいと思うからです。
幸いにして、事前の下見で気に留めた豊国三代の「東海道五十三次之内 日本橋」、広重の「行書東海道 御油」の2枚をほぼ最低価格で購入できました。


部屋に飾って毎日眺めていますが、
・オリジナル作品は落ち着いた色合い
・作者の想いが感じられる
・一枚の刷りに込めた想いが伝わってくる
・薄くて丈夫な紙質
・裏面の手摺り感
など、江戸時代の浮世絵師、彫師、摺師の技に感動します。
そして、当時の浮世絵を大切に保存してきた浮世絵商、コレクターの方々に敬服します。オリジナルの浮世絵には復刻版の浮世絵にない味と雰囲気があるように思います。
なぜだろう。
その理由の1つとして、
・(そもそも)オリジナルの浮世絵と復刻版の浮世絵は顔料、彫師が異なる。
ということがあると思います。
そうなんです。
江戸時代のオリジナルの浮世絵では草木から作った顔料を使っていますが、戦後の復刻版では化学合成した顔料を使っているんです。
写真、印刷、映像では、人が関与して作られたこと(手作り感、作者の想いなど)が薄れてしまいます。
オリジナルの浮世絵を見て触れることで、実物に触れることの大切さに気付かされます。
さて、オークションではいろいろなことに気づかされます。
例えば、私が落札した浮世絵はどちらも東海道五十三次ですが、よく知られている広重の「東海道五十三次(保永堂版)」ではなく、豊国三代の「東海道五十三次」、広重の「東海道五十三次(行書版)」なのです。
東海道五十三次と言えば広重の保永堂版だと思っていた私は、これには驚きました!
その後調べてみると、
歌川広重の「東海道五十三次」には、保永堂版の他にも、狂歌入(55枚)、行書版(59枚)、隷書版(55枚)など版元の異なる作品集があり、他にも五十三次各所図会(堅絵、55枚)、人物東海道(55枚)、東海道風景図会(55枚)、東海道五十三図会(美人東海道、33枚)など東海道ものは多数あることが分かりました。
さらに、東海道シリーズには東海道五十三対(広重、三代豊国、国芳)など他の絵師の作品もあることを知りました。








東海道五十三次は、江戸(日本橋)~京都(三条大橋)までの東海道にある53の宿場町と、日本橋、三条大橋の2枚を含めた55か所の浮世絵ですが、天保年間に保永堂から出版された広重の「東海道五十三次(保永堂版)」(1833~1834年)は当時、大変人気があり、日本橋は後に絵柄の異なる版が製作(再刻)されました。そのため広重の「東海道五十三次(保永堂版)」は56枚あるのです。

また、オークションでの落札価格は、人気のある作者・作品、良い彫り・刷り、保存状態の良い作品は高値となり、絵の縁を切り取ったもの、裏打ちしたものなど手を加えている作品は価格が下がることが分かりました。
例えば、以下の作品ですが、落札価格は大きく異なります。



浮世絵オークションではいろいろな気づきや発見がありました。
念入りな下見、意思の強さ、時の運で落札が決まるように思います。
もしかしたら、作品が購入者を選ぶのかも知れません。
(追記)
権田保之助は大正初期におもちゃ絵(子供向けの浮世絵)を収集して調査し、体系的に分類しました。
詳細は以下のブログに掲載していますので、閲覧いただけると幸いです。
(初めておもちゃ絵の文化的価値を見出し体系的に分類した権田保之助)
https://yasunosukenchi.hatenablog.com/entry/2022/09/19/180659
(おもちゃ絵について)
https://yasunosukenchi.hatenablog.com/entry/2022/09/19/211653